オランダの写真家、ジャクリーン・ハースィンクの被写体はグローバルで奥深く、そして多様である。その対象は、世界有数の企業の役員会議室、産業採石場、 オートクチュール のフィッティングルームから、権威あるアラブ女性実業家の住居やオフィスにまで及んだ。京都の寺院庭園に魅了されたハースィンクはさらに、10年にわたってそれらの撮影を手がけた。著書 『View, Kyoto』 (Hatje Cantz)で、彼女は自分の一連の作品が「寺院の庭の奥深くから、画面に畳・瞑想のスペースと庭のスペースをちょうど半分ずつ映すことで、公的空間と私的空間を分ける曖昧な境界線を探求する」というアイデアから出発したのだと説明した。ハースィンクの目から見た京都の力強さと美しさのビジョンは、誰もがよく知る名所について、新たな視点を提供したのである。

ハースィンクが最後に京都を訪れたのは2016年である。その際、彼女は新しいこと—寺院内の私的空間の記録—に挑戦していた。東福寺の代々の住職たちとの交流が、寺院内の台所、食堂、禅僧の瞑想スペースへのアクセスを可能にした。

東福寺で撮影されたこれらのポートレートは、Kyoto Journalのアソシエイト・エディターであるレイン・ディコによるものだ。彼はニューヨークで、ハースィンクの 『View, Kyoto』 プロジェクトに携わった経験がある。ハースィンクは2018年、52歳でこの世を去ったが、彼女の人生とその作品を追憶するものとして、これらのポートレートがKJ 94 号、京都にインスパイアされた世界中のアーティストたちにフォーカスを当てた特別エディションにて特集されている。

instagram: @lane_diko

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