シュヴァーブ・トム
Issue 94
1596年、豊臣秀吉が天皇を迎えに行く行列を再現、時代
京都の時代祭の写真のために、シュヴァーブはもともと工場のベルトコンベア上のコンピューター チップの欠陥を検出するために設計された工業用ラインスキャンカメラを再利用した。この写真 は、行列がレンズの前を通過する際に捉えられた約5万本の縦線で構成されている。これらの線 はフィルムのコマのように積み重ねられ、背景は引き伸ばされて動きがなく凍りついたかのように 見えるが、行列が時を超えて歩いているようにも見える。
従来のカメラとは異なり、この手法では奥行きや遠近感が排除され、消失点もない。手前の物体 は縮んで見えるが、背景の物体は細長くなり、画像に歪んだシュールな質感を与えている。
シュヴァーブは1970年代のカメラを使用したが、センサーは最先端技術であり、膨大な量のデー タをリアルタイムで処理するコンピュータを必要とする。各垂直フレームは、解像度カメラに匹 敵する約7500ピクセルのさで、1秒の6000分の1に相当する。露光時間は20~40秒で、最終的 な画像は、まるで時間の流れそのものを表すかのような、魅惑的な波紋効果を創出している。

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